訴訟と選挙の関係について
訴訟と選挙の関係について
育休退園訴訟と選挙の関係について解説します。
まず訴訟の解説から。所沢育休退園については以下の4つの訴訟が起こされました。(訴訟の話はややこしいので、時間の無い方は最後の結論だけ読んで頂いても構いません。)
①【差し止め訴訟】まだ退園処分が下されていない(出産や産休明け前)保護者が処分を差し止めるもの。《審議中》
②【仮差し止め訴訟】差し止め訴訟に時間がかかるため、判決が出るまで仮に差止を求めるもの《6月に原告敗訴》
③【取り消し訴訟】すでに退園処分が下された家庭が処分の取り消しを求めるもの。《8月退園になった1名の原告が差し止めから取り消しへ移行》
④【執行停止訴訟】取り消し訴訟の判決が出るまで処分の保留を求めるもの。《取り消し訴訟の原告が求めている。9月に原告勝訴》
最初に報道で大きく取り上げられたのは、①②の差し止め・仮差し止め訴訟の提訴と、②の原告敗訴のニュースでした。この報道の結果、所沢の育休退園は全国的な注目を浴びることになり、各メディアやネット上で育休退園問題は賛否両論を巻き起こしました。
(4つの訴訟の中では①の差し止め訴訟が最も重要性が高く、今年度の育休退園全体に影響を与えます。まだ判決は出ていません。)
次に大きなニュースになったのは、つい先日報道された④の執行停止訴訟の原告勝訴です。一連の訴訟で、初めて退園となった児童が元の保育園に戻ることが認められました。④の訴訟はあくまで付随的・暫定的なものですが、おそらく③の取り消し訴訟においても、原告勝訴の可能性が極めて高いと思われます。
この④の訴訟で非常に重要なポイントとなるのが、裁判所が「聴聞手続きの不備について違法性の疑いあり」と判断したことです。ここで言う聴聞手続きの不備とは、2月に育休退園ルールを告知した段階で不利益を被る退園対象家庭に反論の機会を与えなければならなかった、というものです。
なぜ、この「聴聞手続きの不備」が重要かというと、まもなく判決が出ると予想される①の「差し止め訴訟」において、同じ理由で原告勝訴が確定すると、事実上、今年度の育休退園はすべて違法となるからです。今年度、市内で100名近くの退園対象児童がいますが、その誰一人として、所沢市は聴聞手続きを行っていないからです。2月に突然「4月から2歳以下の児童は育休中は退園となります。」と一方的に決定を押し付けたのですから。
もしそのような判決が出た場合、今年度の育休退園はいったん停止となり(法的には原告の約10世帯だけですが違法と認定された制度を続けることは事実上不可能)すでに退園した児童はなるべく速やかに復園処置が取られ、今後退園予定だった児童は在園が認められることになります。
しかし、訴訟では、あくまで「手続きの違法」が認められるのが限界で、育休退園制度そのものは「合法」となります。ですから、仮に藤本市長が再選した場合、来年度以降、手続きを見直して育休退園を続行しようとすれば、継続可能となります。
「育休退園制度そのもの」は合法であり、やってもやらなくても良いのです。実際にすでに全国の何十もの自治体で行われてきた制度です。やるかやらないかは自治体に任された「政策問題」なのです。
では、この育休退園を「政策」として採用するかどうかを決めるのは誰かと言うと「行政」です。すなわち市長や議会で議論して決めることです。さらに、その市長や議員を選ぶ「市民」が決めることなのです。だから選挙戦の争点となっているのです。
もし「育休退園賛成」の候補者が当選した場合には、訴訟で原告が勝訴したとしても、来年以降、育休退園制度は続行可能であることをご理解ください。
※法律論、法律用語については一般の人にも分かりやすく伝えるために、あえて厳密な表現にはしていません。内容面で不適切な部分があれば是非ご指摘下さい。
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コメント
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うーん
毎回投票率が低いので、結局のところ組織票が固い候補が当選する可能性が高いのではないでしょうか。
藤本氏は、エアコン住民投票の時、松井、柳瀬には関係ないので、反対してくださいという趣旨のことを東所沢駅前でしゃべっていて、個人的には信用していないので、藤本氏以外の候補に投票しました。